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「慰安婦」とは、戦時中に各地で日本軍の性の相手をさせられた女性のことです。日本軍が慰安婦を「強制連行」した資料的証拠は見つかっていませんが、日本政府は1993年に当時の河野官房長官が発表した「河野談話」で慰安婦に対する「お詫びと反省の気持ち」を表しました。また、民間資金を原資とする「償い金」の支給などに取り組んできました。

「河野談話」には強制連行を認めたように受け取れる部分があり、談話の見直しを求める声も上がってきました。安倍政権は「河野談話」作成過程の検証を行いましたが、「河野談話」の見直しは行わないと表明しました。外交上の配慮とみられています。

日本政府は、慰安婦問題に関する道義的責任を認めつつも、賠償問題は法的に解決済みという立場をとる一方、韓国側は日本政府の正式な謝罪や補償を求め、問題解決の糸口が見つからない状態が続いてきました。また、慰安婦問題を象徴する「少女像」が、韓国・ソウルの日本大使館前をはじめ、アメリカなど世界各地にも設置されてきました。

そんな中、2015年12月28日に事態は大きく進展します。両国の外務大臣が会談し、その後の記者会見で、慰安婦問題をめぐって両国が合意に至ったと発表したのです。

具体的には、日本政府が「責任を痛感」し、安倍総理が「おわびと反省の気持ちを表明する」とした上で、韓国政府が設ける財団に日本政府が10億円の資金を出し、元慰安婦への支援事業を行います。日本政府によるこれらの措置が実施されることを前提に、韓国政府は慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と表明。韓国・ソウルの日本大使館前に設置された「少女像」について「適切に解決されるよう努力する」とも述べています。

日本政府は10億円を拠出し、元慰安婦への支援事業も行われましたが、韓国政府は世論の反発も背景に、ソウルの「少女像」を撤去することができずにいました。そんな中、「日韓合意」から1年後の2016年12月28日、韓国・プサンにある日本総領事館の前に、地元の学生らによって「少女像」が新たに置かれました。これにする対抗措置として、日本政府は韓国から大使を一時帰国させるなどの対抗措置を発表しました。歴史的な「日韓合意」から約1年たっても、解決とはほど遠い状況となっています。

Q&A

「慰安婦」とか「慰安所」ってなに?

日本軍は、1932年から太平洋戦争にかけて、強姦事件や性病を防ぐことなどを目的に各地に「慰安所」を設けました。そこで兵士に性的な奉仕をさせられた女性たちが「慰安婦」です。当初は日本国内から募集されましたが、戦線の拡大とともに、日本軍が進出した各地の女性が慰安婦とされました。

→もっと読む 日本軍による慰安所設置の目的

いつから問題になったの?「河野談話」ってなに?

慰安婦の存在は社会的に知られていましたが、韓国が民主化した後、1990年ごろから大きな問題となりました。元慰安婦たちが日本政府に謝罪などを要求、日本政府が調査を行います。そして1993年8月に河野洋平官房長官が発表したのが「河野談話」です。元慰安婦に対し「心からお詫びと反省の気持ち」を表しています。

→もっと読む 慰安婦問題の浮上と「河野談話」までの経緯

元慰安婦への補償はどのように行われてきたの?

慰安婦への賠償問題は「法的に解決済み」という立場の日本政府は、1995年に設立した「アジア女性基金」を通じて、民間の募金を原資とする「償い金」を支給してきました。しかし韓国の元慰安婦支援団体は反発し、日本政府の「正式な謝罪と補償」などを求めています。

→もっと読む 「アジア女性基金」を通じた「償い事業」

「吉田証言」って何?

韓国・済州島で「慰安婦狩り」をしたと「告白」した吉田清治氏の証言です。1982年に朝日新聞が最初に報じ、日本軍による強制連行の証言として注目されましたが、1992年には専門家の現地調査によって証言内容の信憑性が否定されました。その後、吉田氏自らが証言は虚偽であることを認めています。

→もっと読む 慰安婦の強制連行を虚偽告白した「吉田証言」

「クマラスワミ報告」って何?

1996年にクマラスワミ氏が国連人権委員会に提出した報告書です。慰安婦問題を「軍性奴隷制」と指摘し、日本政府に謝罪や補償、関係者の処罰などを勧告しました。根拠として、元慰安婦への聞き取り調査や「河野談話」のほか、後に虚偽と判明している「吉田証言」を引用していることなどから、事実誤認だという批判があります。

→「クマラスワミ報告」とは

「河野談話の見直し」って?

河野談話の中には、日本軍による強制連行があったように受け取れる部分があるため、国際社会の不当な誤解を招いているとして、談話の見直しを求める声があります。第1次安倍政権下の2007年、「強制連行の裏付け資料はない」と閣議決定されました。また、第2次安倍政権の2014年、河野談話の作成過程の検証が行われ、韓国側と水面下でのすり合わせがあったことなどが明らかにされました。しかし、安倍政権は河野談話の見直しは行わないとしています。

→ 河野談話の「検証」はしたが「見直し」はせず

慰安婦問題を象徴する「少女像」って?

「慰安婦とされた少女の姿」をイメージして設けられた銅像です。元慰安婦を支援している韓国の「挺対協」(挺身隊問題対策協議会)という市民団体が2011年12月にソウルの日本大使館前に設置したのが初めてです。その後、韓国国内やアメリカなど各地に同様の少女像の設置が進められました。韓国・プサンの日本総領事館前に置かれた少女像は韓国国内で55か所目とされています。

日本政府と韓国政府が問題解決で合意したって?

2015年12月28日、両国の外務大臣が会談した後に共同記者会見を行い、慰安婦問題をめぐって両国が合意に至ったと発表しました。日本政府が「責任を痛感」し、安倍総理が「おわびと反省の気持ちを表明する」とした上で、韓国政府が設ける財団に日本政府が10億円の資金を出し、元慰安婦への支援事業を行います。この事業を着実に実施することを前提に、韓国政府は慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と発表。韓国・ソウルの日本大使館前に設置された「少女像」について「適切に解決されるよう努力する」としています。

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