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先週の政治振り返り

政府は長時間労働の是正や同一労働同一賃金のガイドラインなどを柱とする「働き方改革実行計画」を取りまとめました。時間外労働に罰則つきの上限規制を設け、正社員と非正規社員との不合理な待遇差を是正するガイドラインなどを盛り込んでいます。政府はこの計画をもとに今後法案を作成することになります。
自民党は、自衛隊が持っていない「敵基地攻撃能力」保有を検討すべきなどと政府に提言しました。自衛のための必要最小限度の「敵基地攻撃能力」は憲法の認める自衛の範囲内だというのが政府が従来示してきた解釈です。民進党や共産党が「専守防衛の建前を崩す」などと反対する中、安倍総理は国会で「計画はない」と述べるとともに「検討を行うのは当然のことだ」と述べました。北朝鮮の核やミサイルの脅威が高まる中、「敵基地攻撃能力」保有の可否は今後大きな議論となる可能性があります。

3月27日(月)

菅官房長官、沖縄県知事に損害賠償請求の可能性に言及

沖縄県の翁長知事が、アメリカ軍普天間基地の移設先である辺野古の埋め立て承認を「撤回」する考えを示したことをめぐり、菅官房長官は記者会見で、一般論として翁長知事に対して損害賠償請求を行うこともありうると述べた。

2017年度税制改正法案が成立

主な内容は以下の通り。

<所得税の配偶者控除の見直し>
世帯主が「所得税の配偶者控除」を受けるための配偶者の年収上限を、今の「103万円以下」から「150万円以下」に引き上げる。これまで夫の税金が増えないように年収103万円を超えないように労働時間を調整してきたパート女性が、税金を気にせず働ける幅を広げるのが狙い。
この改正に伴って全体の税収が減るのを防ぐために新たに所得制限を設ける。世帯主の年収が1120万円を超える人から控除額を段階的に減らし、年収が1220万円を超えると控除の対象外となる。

<酒税の一本化>
いまは税額が異なるビールや発泡酒、第3のビールの税額を一本化する。2020年10月から、ビールを段階的に減税する一方、発泡酒と第3のビールを増税する。

<エコカー減税>
エコカー減税を来年春から2年間延長する一方で、燃費基準を厳しくする。減税対象となる新車の割合は、現在の9割程度から、来年春から1年間は8割程度、再来年春からは7割程度に絞り込む。

<タワーマンション税制>
高さ60mを超える新築マンションの固定資産税の税額について、現状は階数によって差はないが、上の階ほど価格が高いことを踏まえて、高層階の方が税率が高くなるように見直す。
す。

2017年度予算が成立。一般会計総額は過去最大の97兆4547億円

歳出面では、一定の所得がある高齢者の医療費負担を増やすなどして圧縮したものの、社会保障費が過去最大の32兆4735億円となった。防衛費は、ミサイル防衛の強化費用などを計上し過去最大の5兆1251億円。
歳入面では、3分の1以上を国債に依存する厳しい財政状況が続いている。

詳細はこちらの資料を参照:「平成29年度予算政府案」(財務省HP内)

政府が目玉政策としてアピールしているのは、以下のような「分配」や「働き方改革」実現に向けた政策だ。

<「一億層活躍社会」実現に向けた「分配」政策>
・給付型奨学金の創設
・保育士・介護人材等の処遇改善
・保育の受け皿拡大
・年金の受給資格期間の短縮
・育児休業制度の拡充
・雇用保険料の軽減 など

<働き方改革の推進>
・賃金アップを図る企業への助成
・「勤務間インターバル」を導入する中小企業への支援
・非正規労働者の 正社員転換や待遇改善に取り組む企業の支援 など

3月28日(火)

日本政府、核兵器禁止条約への不参加を表明

核兵器を「非人道的」として禁止する条約の制定を目指す交渉が国連で始まった。100以上の非核保有国が参加する一方で、核兵器保有国は条約に反対し、交渉に参加しない。アメリカの国連大使は会見で「北朝鮮が核ミサイル開発を進める中で核兵器を放棄できない」などと述べた。日本は、核軍縮は核保有国と非保有国の協力が不可欠だとして、交渉に参加しないことを表明した。唯一の被爆国である日本の不参加表明に国際社会や国内の被爆者団体などから批判の声が上がっている。

大阪高裁、高浜原発3・4号機の再稼動を容認

高浜原発3・4号機をめぐっては、去年3月に大津地裁が「関西電力は安全性の確保について説明を尽くしていない」などとして運転停止を命じる仮処分の決定を出したが、これを不服とする関西電力が大阪高裁に抗告していた。大阪地裁は、大津地裁の出した運転停止の仮処分の決定を取り消し、再稼動を認める判断を下した。

政府「働き方改革」実行計画とりまとめ

政府は、長時間労働の是正や同一労働同一賃金のガイドラインなどを柱とする「働き方改革実行計画」を取りまとめた。この実行計画をもとに政府は法案を作成し、国会に提出する方針。安倍総理大臣は「実行計画の決定は日本の働き方を変える改革にとって歴史的な一歩だ。後世において振り返れば、2017年が日本の働き方が変わった出発点として、間違いなく記憶されるだろうと確信している」と意義を強調した。

働き方改革実行計画(官邸HP内資料)
主な内容は以下の通り。

<長時間労働の是正>
*現状では労使間で合意すれば事実上青天井の時間外労働に罰則付きの規制を設ける

*時間外労働(週40時間を超える労働)の上限規制
・原則として月45時間、年360時間まで
・労使協定を結ぶ場合でも、月平均60時間、年720時間まで
・繁忙月でも最大で月100時間未満
・2〜6か月いずれの平均でも月80時間まで

*企業に対しインターバル制度導入の努力義務
(インターバル:前日の就業時間と翌日の始業時間の間に一定時間の休息を確保すること)

*その他
・自動車の運転業務、建設事業は5年間の猶予期間を設けるが、将来的には例外としない
・医師は2年後をめどに規制のありかたを検討
・研究開発職業務は適用除外

<同一労働同一賃金の実現>
・正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差を是 正することを目的とするガイドラインを提示
・業績や能力などに応じた待遇差を認めるが、待遇差に合理性があるか、企業側に説明義務を課す
・不合理な待遇差の是正を求める労働者が裁判で争えるように、根拠となる法律を整備

<批判・指摘>
*時間外労働の上限規制について
「繁忙期の月100時間未満」などは「過労死ライン」ギリギリの数字であり、不十分という批判がある。
また、「年間720時間」は時間外労働が対象で、休日労働が含まれておらず規制の抜け穴になるという指摘がある。
*同一労働同一賃金について
ガイドラインでは同じ企業で働く正規・非正規の間の待遇差是正を目的としているため、非正規社員を別会社の社員として働かせれば待遇差が問題にならないという抜け穴があるという指摘がある。

3月29日(水)

イギリスがEU離脱を正式に通知

これからイギリスとEU(ヨーロッパ連合)との間で、史上初の離脱交渉が正式に始まる。交渉期間は2年間。

3月30日(木)

文部科学省、天下りあっせん問題で違反総数62件、処分は43人と発表。

問題発覚から約2か月にわたり行ってきた調査の最終的な結果を発表した。国家公務員法に違反するケースは、これまでに認定した27件に新たに35件が加わり、総数は62件となった。処分対象者は退職者を含む43人で、異例の規模となった。

3月31日(金)

韓国、パククネ前大統領を逮捕

収賄などの疑いで検察が請求した逮捕状を裁判所が出し、逮捕された。韓国の大統領経験者が逮捕されるのはチョンドゥファン、ノ・テウ氏に続き史上3人目。

自民党が提言した「敵基地攻撃能力」めぐり安倍首相「計画ないが検討は当然」

自民党が30日に政府に提出した提言では、北朝鮮が核開発やミサイル発射実験を繰り返し脅威が高まっているのを背景に、日本が弾道ミサイル防衛を強化すべきだとして、「敵基地反撃能力」を保有すべく検討を始めるべきなどとしている。

安倍総理大臣は参議院本会議で、
「敵基地攻撃能力はアメリカに依存しており、装備体系を保有する計画はない」と述べる一方で、
「法理的には自衛の範囲に含まれ可能だ」
「常にさまざまな検討を行い、あるべき防衛力の姿について不断の検討を行うことは当然のことだ」と述べた。
一方、民進党や共産党は「専守防衛の建前を崩す」などとして反対の考えを示している。

<敵基地攻撃能力>
自民党の提言では敵基地「反撃」能力と称している。政府は、日本への攻撃を防ぐためにやむをえない必要最小限度の措置として敵基地を攻撃することは、憲法の認める自衛の範囲に含まれ可能だとしている。
現状では敵基地への攻撃はアメリカ軍に委ねており、自衛隊は敵基地攻撃のための装備を持っていない。

詳細はこちらの資料を参照:「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言 」(自民党HP内資料)

今週の見通し

政府・与党が今の国会での成立を目指す「テロ等準備罪」の国会での審議が始まる見通しです。ただ、自民党が4月6日を主張しているのに対して、公明党は他の法案(民法改正案や刑法改正案)の審議を優先すべきと主張し、審議入りのスケジュールをめぐり与党の間の足並みがそろっていません。民進党・共産党などはこの法案に強く反対していて、審議の難航が予想されます。