genpatsu.jpg

先週の政治振り返り

愛媛県にある四国電力・伊方原発3号機をめぐり、広島高等裁判所が運転の停止を命じました。高等裁判所が原発の運転停止を命じるのは初めてです。ポイントとなったのは熊本県の阿蘇山が巨大噴火した場合の伊方原発への影響でした。今後、原発再稼働をめぐって、火山についての判断が注目要素となりそうです。
北朝鮮問題をめぐっては、国連安保理の緊急会合に、これまで出席してこなかった北朝鮮の国連大使が出席しました。北朝鮮は、核・ミサイル開発はアメリカからの自衛ためだと強調し、正当性を主張しました。
こうした中、中国と韓国は首脳会談で、北朝鮮問題をめぐり対話と交渉で解決する方針で一致しました。アメリカ、日本が北朝鮮への圧力強化を目指す中、国際社会の足並みがそろわない状況は変わっていません。

12月13日(水)

広島高裁、伊方原発3号機の運転停止を命じる

四国電力の伊方原子力発電所3号機(愛媛県)について、広島県などの住民4人が「重大事故の危険がある」として運転の停止を求める仮処分を申し立て、広島地方裁判所はことし3月、これを退ける決定をした。住民側は、決定を不服として抗告し、広島高等裁判所では、四国電力が想定する地震の最大の揺れや周辺の火山の噴火の危険性をどのように評価するかなどが争われた。
広島高等裁判所は「熊本県の阿蘇山で巨大噴火が起きて原発に影響が出る可能性が小さいとは言えず、新しい規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理だ」などと指摘し、運転の停止を命じた。高等裁判所が原発の運転停止を命じるのは今回が初めて。
運転停止の期間は、広島地方裁判所で進んでいる裁判で異なる結論が出る可能性があるとして、来年9月30日までとした。伊方原発3号機は去年8月に再稼働し、ことし10月から定期検査のため運転を停止している。定期検査が終了する来年2月以降も運転できない状態が続く可能性が高い。
住民の弁護団の河合弁護士は「高等裁判所で差し止めの決定が下ったのは初めてで、被爆地の広島でこのような決定が出たのは意義が大きく、歴史的な転換点だと思う」などと話した。
一方の四国電力は「「当社の主張が認められなかったことは極めて残念であり、到底承服できない。内容を確認のうえ、速やかに異議申し立ての手続きを行います」とコメントしている。なお、四国電力によると、伊方原発3号機を運転できないと、代わりとなる火力発電所の運転に必要な燃料費などで1か月あたり約35億円の損失が出る。
また、原子力規制委員会の更田委員長は、今回の決定が今後の原発の審査における火山の想定に与える影響について「私たちは状況にかかわらず、科学的・技術的な知見・理解を基に判断していくだけで、審査への影響はない」と述べた。

普天間基地に隣接する小学校に米軍ヘリの部品落下

沖縄のアメリカ軍普天間基地に隣接する宜野湾市の小学校のグラウンドに、飛行中のアメリカ軍の大型ヘリコプター「CH53」から重さ約8キロの窓が落下した。当時グラウンドでは約50人の小学生が体育の授業を受けていて、4年生の男子児童の左腕に落下に伴って飛んできたものが当たった。
アメリカ軍は「この事態を非常に重く受け止め調査している。安全の確保と場の保全のため、地域の方々には現場に立ち入らないよう求める。非常に残念な事件で、周辺地域に不安に与えたことを謝罪する」などとコメントを発表した。
翁長知事は現地を視察したあと記者団に対し、「校庭のど真ん中に落ちて来たということは、とんでもないことで許されない。体育の授業をやっていたということだが、われわれがいちばん守らなければいけないのは子どもたちだ。何回も何回も繰り返されてきているが、もう言葉にもならない気持ちだ」などと強く批判した。
山本防衛副大臣は在日アメリカ軍のマルティネス司令官に対し、安全が確認されるまで同型機の飛行を自粛するよう申し入れた。

12月14日(木)

トランプ大統領「エルサレムはイスラエルの首都」と宣言

アメリカのトランプ大統領はホワイトハウスで演説し、中東のエルサレムを「イスラエルの首都と認める時がきた」と述べ、現在テルアビブにあるアメリカ大使館をエルサレムに移転する方針を表明した。
イスラエルはエルサレムを首都だと主張しているが、パレスチナ側も将来の独立国家の首都と位置づけていて、国際社会はイスラエルの首都だと認めていない。
今回のトランプ大統領をイスラエルは歓迎したものの、パレスチナやイスラム諸国をはじめ世界各国で反発が広がっていて、中東情勢の不安定化につながると懸念されている。

12月8日(金)

与党、来年度の税制改正大綱を決定

自民・公明両党は来年度の税制改正大綱を決定した。主な内容は以下の通りで、改正項目がすべて実施されると、総額で2800億円の増税になる見通し。
政府・与党はこの内容を盛り込んだ税制関連法案を年明けの通常国会に提出し、速やかな成立を目指す。

リンク:平成30年度税制改正大綱(自民党HPより)
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/136400_1.pdf

<所得税改革>
会社員や公務員などの給与所得の一定額を必要経費とみなして収入から差し引く「給与所得控除」は全体的に10万円縮小した上で、年収850万円を超える人については、控除の上限額を引き下げて増税とする。ただし、22歳以下の子どもがいる人や、重度の障害があって介護が必要な家族らと生計をともにしている人などは対象外とする。
一方で、すべての納税者が対象となる「基礎控除」は10万円増やし、フリーランスの自営業者などは減税となる。高所得者については控除を減らす。
見直しは2020年1月から実施され、財務省によると、この見直しで所得税全体で約900億円の増収となる。

<法人税>
前年度と比べ3%以上の賃上げを行うとともに、先端技術に投資して生産性の向上を図るなどした企業の実質的な税負担の割合を20%まで引き下げる。

<たばこ税>
「紙巻きたばこ」は、来年10月から2021年までかけて1本当たり3円増税する。
「加熱式たばこ」は、2022年までかけて「紙巻きたばこ」の税額のおよそ70%から90%まで引き上げる。

<国際観光旅客税>
日本を出国する際に1人当たり1000円を徴収する「国際観光旅客税」を2019年1月から導入し、観光分野の政策に充てる財源とする。

<森林環境税>
自治体が森林整備を行う財源を確保するため、1人当たり年間1000円を個人住民税に上乗せして徴収する「森林環境税」を2024年度から導入する。

中韓の首脳が会談。北朝鮮問題の対話を通じた解決で一致

韓国のムンジェイン大統領は訪問先の中国で習近平国家主席と会談した。北朝鮮問題をめぐり両首脳は、戦争を絶対に容認せず、朝鮮半島の非核化の原則を堅持し、対話と交渉を通じて解決することなどで一致した。
両国の関係が冷え込むきっかけとなったアメリカ軍の迎撃ミサイルシステム「THAAD」の韓国配備をめぐっては、習主席は「韓国側が引き続き問題を適切に処理することを望む」と述べ、両国間に溝は残っている。

12月15日(金)

日本政府、北朝鮮への制裁を強化

日本政府は北朝鮮に対する独自の制裁措置を強化するため、資産凍結の対象に新たに北朝鮮に拠点を置く海運会社や石炭を扱う貿易会社、銀行など19の団体を加えることを決めた。今回の制裁強化で、日本政府の資産凍結の対象は、北朝鮮などの合わせて103の団体と108の個人となった。

12月16日(土)

北朝鮮、国連安保理に出席し核・ミサイル開発の正当性を主張

北朝鮮問題をめぐる国連安全保障理事会の緊急会合が開かれた。
議長を務めた河野外務大臣は、すべての国連加盟国に制裁の完全な実施を求めた。
アメリカのティラーソン国務長官は「対話に入るには、地域を脅威にさらす北朝鮮の行いが停止されなければならない」などと述べ、北朝鮮に方針の転換を強く促した。

これまで安保理に出席してこなかった北朝鮮のチャ・ソンナム国連大使が出席し、「もし核不拡散が議論されるのならば、最初に裁かれるべきなのは核兵器の近代化に多額の予算をつぎ込んでいるアメリカだ」とアメリカを非難した上で、「核・ミサイル開発はアメリカの核の脅威から主権と領土を守り、国民に平和な生活を保証するためだけのものだ。北朝鮮の権益が侵害されない限り、どの国や地域にも脅威を与えるつもりはない」と述べ、核・ミサイル開発の正当性を主張した。

一方、韓国の代表は「私たちの共通の目標は平和的な手段による北朝鮮の完全で検証可能な非核化だ」と述べ、対話を通した問題解決を呼びかけた。

中国の代表は「軍事力に頼れば朝鮮半島に破滅的な結果をもたらすだけだ。関係国は、制裁による圧力が対話と交渉を再開するための推進力になるよう努力すべきだ」と述べ、北朝鮮が核・ミサイル開発を停止することと引き換えにアメリカと韓国が合同軍事演習を停止することを改めて提案した。

ロシアの代表は、北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難する一方で、「朝鮮半島の非核化は、アメリカの防衛システムの配備を制限し、大規模な軍事演習の規模を縮小することなしには不可能だろう」と述べ、アメリカをけん制した。

今週の見通し

民進党は、党の今後の方向性について議論していますが、党を存続させるか、新党に移行するのかなどの大きな方針をめぐって意見の集約が進んでいません。そんな中、立憲民主党と希望の党に対し、国会での活動で連携する「統一会派」の結成を申し入れることについては、地方組織の代表者などから了承されました。
しかし、立憲民主党の枝野代表は、政策が異なる議員もいるとして、3党による統一会派の結成には否定的な考えを示しています。
今後、民進党がどんな方向性を打ち出し、野党再編がどう進むのかが注目されます。