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これまでの経緯

森友学園へ国有地売却:8億円の値引きが疑惑の発端

2016年6月、学校法人「森友学園」は大阪府豊中市の国有地を小学校の建設用地として購入しました。この土地の鑑定価格は9億5600万でしたが、地中に埋まっているゴミの撤去費用としておよそ8億2000万円が値引きされ、購入価格は1億3400万円でした。

この大幅な値引きが疑惑の発端となり、売却価格は適正だったのか、政治家の圧力がなかったのかなどが焦点になりました。

特に「森友学園」が運営する幼稚園が安倍首相を賛美する教育を行っていたことや、安倍昭恵夫人が設立予定の小学校の名誉校長を務めていたことなどから、安倍政権との関係が注目されました。

そして2017年2月、安倍首相が国会で「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員も辞める」と答弁したことで、安倍首相の進退につながる政界の関心事となりました。

籠池理事長、国会で証言。その後、詐欺容疑で逮捕

2017年3月、森友学園の籠池理事長に対する証人喚問が国会で行われました。

籠池氏は「大幅な値引きにびっくりした」「政治的な関与はあったのだろうと認識している」などと述べたほか、昭恵夫人の助けを得ようと留守電にメッセージを残したのに対して昭恵夫人付きの職員からFAXで回答を得たことや、昭恵夫人から森友学園に100万円の寄付があったことなどを証言しました。

これに対して政府は、値引きは適切だったと説明し、夫人付きの職員によるFAXは一般的な内容で籠池氏への「ゼロ回答」であり行政の「忖度」を否定しました。

また、昭恵夫人はフェイスブックにコメントし、学園側に寄付金を渡したことも講演料をもらったこともないとし、夫人付きの職員がFAXで回答した件についても関与を否定しました。

こうした中、森友学園が小学校校舎の建設工事をめぐり、金額の異なる3通の契約書を作成して国の補助金を不正に受給していたことが発覚。籠池理事長夫妻は2017年7月、詐欺容疑で逮捕されました。

会計検査院、値引き「十分な根拠確認できない」

2017年11月、会計検査院は森友学園への国有地売却に関する調査結果を国会に提出しました。

調査結果では、8億2000万円という値引き額の算定方法について「十分な根拠が確認できない」と指摘した上で、地中のゴミの量について、独自に行った複数の推計では3~7割にとどまり「慎重な調査検討を欠いていた」と改善を求めました。

また、資料が保存されていないため「検証が十分に行えない」とし、財務省や国交相に対して文書管理の在り方などについて改善を求めました。一方、政治家からの働きかけや行政の忖度があったかどうかについては触れませんでした。

財務省の決済文書「改ざん」問題が発覚

2018年3月2日、朝日新聞は、国有地売却に関する財務省の決済文書が問題発覚後に書き換えられていた疑いがあると報じます。これをきっかけに、しばらく沈静化していた森友学園をめぐる問題が再び浮上します。

そして、3月9日に佐川氏が国税庁長官を辞任しました。佐川氏は文書改ざん当時の理財局長で、森友学園をめぐる一連の問題をめぐって国会答弁を担当してきました。

佐川氏は国会答弁で、学園側との交渉の記録について「廃棄した」と説明していましたが、2018年2月には近畿財務局内での法律上の相談をした際の内部文書が見つかっていました。

また、学園側との交渉について「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいという希望があったこともない」などと答弁してきましたが、その後、学園側との間で事前に金額をめぐるやり取りがあったことが明らかになり、佐川氏の答弁が虚偽だったのではないかと指摘されてきました。

野党の追及や厳しい世論を背景に、佐川氏の辞任に発展した形です。

財務省「14件の文書を書き換え」調査結果を発表

2018年3月12日、財務省は、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書をめぐり、2017年2月下旬から4月にかけて、財務省理財局が「売払決議書」や「貸付決議書」など14件の文書が書き換えられていたとする調査結果を国会に報告しました。

学園側との価格交渉をうかがわせる記述や、財務省本省の関与をうかがわせる部分などが削除されていました。

また、2014年4月に行われた近畿財務局と森友学園との打ち合わせの中で、森友学園側から「安倍総理大臣夫人の昭恵氏を現地に案内し『いい土地ですから前に進めてください』との言葉をいただいた」との発言があったとしていましたが、これも削除されていました。

麻生財務大臣は「極めてゆゆしきことで誠に遺憾で、おわび申し上げる」と謝罪する一方、書き換えについては「理財局の一部の職員によって行われた。その最終責任者は当時の理財局の佐川局長だ」と説明しました。書き換えが行われた理由については「佐川前国税庁長官の答弁と決裁文書との間にそごがあった。佐川の答弁に合わせて書き換えたのが事実だ」と述べました。

ニュース

佐川氏の証人喚問では真相解明ならず

森友学園に対する国有地売却について財務省が決裁文書を改ざんしていた問題をめぐり、改ざんが行われた当時に国有財産を管理する財務省理財局のトップだった佐川氏(前国税庁長官)の証人喚問が、衆・参両院の予算委員会で行われました。

佐川氏は「国会において大きな混乱を招き、行政の信頼を揺るがすような事態になったことは誠に申し訳ないと思っている。当時の担当局長として責任はひとえに私にある。深くおわび申し上げたい」と謝罪しました。

佐川氏は、この問題をめぐって安倍首相や昭恵夫人、麻生財務大臣や首相官邸関係者など政権からの指示はなく、財務省理財局の中で対応したと証言しました。

その一方で、改ざんは誰の指示でなぜ行われたのかなど問題の核心については「自らが捜査の対象で刑事訴追を受けるおそれがあるので答弁を差し控える」などとして証言を拒否しました。けっきょく、佐川氏の証人喚問を通じて真相究明には至りませんでした。

与党側は、安倍首相はじめ官邸の関与がないことは明らかになったとして幕引きを図りたい考えですが、野党側は安倍昭恵首相夫人など他の関係者の証人喚問を求めていく方針です。

賛否両論

昭恵夫人の証人喚問「必要」派

  • 森友学園の名誉校長だった昭恵夫人には説明責任がある
  • 全容解明のために関係者の話を聞く必要がある

昭恵夫人の証人喚問「不要」派

  • 昭恵夫人が直接関与した事実は明らかになっていない
  • 昭恵夫人に関しては安倍首相が答弁している

新聞各社の主張(抜粋)

朝日新聞

佐川氏の喚問は第一歩に過ぎない。前任の理財局長だった迫田英典氏や昭恵氏、昭恵氏と財務省を仲介した政府職員らの国会招致は欠かせない(2018年3月28日社説

毎日新聞

佐川氏だけの責任で終わらせるのは到底不可能だ(略)佐川氏や昭恵氏らの証人喚問が必要だ(2018年3月13日社説

日経新聞

国会は関係者を招致して全容の解明を急ぐべきだ。昭恵氏も自らの行動について公の場できちんと説明する必要がある(2018年3月28日社説

読売新聞

昭恵氏が国有地の取引に直接関与した事実は出ていない。問題を整理する必要がある(2018年3月28日社説

産経新聞

佐川氏への証人喚問が生煮えに終わったように、予算委で今後も喚問を重ねるだけでは事案の解明には至るまい(2018年3月28日社説

社説の読み比べ

昭恵夫人について、朝日・日経・毎日は説明責任を追求する構えです。朝日新聞は「国会招致は欠かせない」と主張。毎日新聞も3月13日の社説で「証人喚問が必要だ」と訴えています。(※佐川氏の証人喚問翌日の3月28日の社説では昭恵夫人の説明責任に言及なし)日経新聞は、国会招致という形ではなくとも記者会見などを念頭に置いたものか、「公の場できちんと説明する必要がある」と指摘しています。

一方、読売と産経は3紙とは異なる主張です。読売新聞は、「昭恵氏が学園の教育方針や背景を十分に調べず、名誉校長就任に応じたのは軽率だったと言わざるを得ない」と昭恵夫人の行動を批判しつつもも、「詐欺罪などで起訴された籠池泰典・前学園理事長に利用された側面があろう」と擁護。「昭恵氏が国有地の取引に直接関与した事実は出ていない。問題を整理する必要がある」として、昭恵夫人の説明責任の必要性には触れていません。

産経新聞は、「佐川氏への証人喚問が生煮えに終わったように、予算委で今後も喚問を重ねるだけでは事案の解明には至るまい」として、証人喚問が真相解明につながらないとの見通しを示しています。その上で、「国会が自ら改竄問題を検証するため、特別委員会の設置を検討してしかるべきだ。その下に有識者による第三者機関を設け、関係者からの聞き取りなどを進めるのも一案だろう。政府が協力すべきなのは当然である」と提言しています。

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