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反対派の主張

捜査機関の拡大解釈による不法逮捕や人権侵害のおそれ

賛成派の主張

テロ対策を強化するために必要

ざっくり読む

「テロ等準備罪」とは、テロ組織などの「組織的犯罪集団」が重大な犯罪を計画し、メンバーのうちの誰かが犯罪の準備行為を行った場合などに、犯罪計画に合意した全員が処罰の対象になるという新たな罪です。これまで3回国会で廃案となった「共謀罪」趣旨を踏まえつつ、その要件を厳しくしたものです。

2017年3月21日、政府は「テロ等準備罪」を新たに設ける「組織犯罪処罰法」の改正案を閣議決定しました。

政府は、2020年の東京五輪にむけて、テロ対策は開催国としての責務だと主張し、国際的な組織犯罪の捜査協力などを規定した「国際組織犯罪防止条約」を締結するためには「テロ等準備罪」が必要だとして、法案の早期成立を目指しています。

公明党は、法案の必要性に理解を示しつつも当初は慎重な姿勢をとってきました。しかし、処罰対象を「組織的犯罪集団」に限定し、対象となる犯罪の数も絞り込み、犯罪の計画だけではなく準備行為も必要とするなど、要件が厳格化されたことなどから、法案を了承しました。

一方、民進党や共産党など野党側や日弁連(日本弁護士連合会)などは、「テロ等準備罪」は憲法が保障する内心の自由を侵害する可能性が高く、捜査機関の恣意的な判断で一般市民が処罰の対象になりかねない、現行法制度でも国際組織犯罪防止条約を締結できる、などと主張し、法案に反対しています。

2017年4月6日、法案は衆議院本会議で趣旨説明が行われ、法案は国会で審議入りしました。今後国会で、与野党の激しい論戦が行われるものとみられます。

Q&A

国際組織犯罪防止条約(TOC条約)ってなに?

国際的な組織犯罪を防止するために協力して対応するために、締約国の間での犯罪人引き渡しなどについて規定するもので、2000年11月に国連総会で採択され、2003年に発効しました。

日本は2000年12月の署名会議に参加し署名した上、2003年5月に国会で条約締結の承認を得ていますが、条約締結のための条件である(と少なくとも日本政府が解釈している)「共謀罪」が整備されていないため、締結には至っていません。

この条約は187の国・地域(2016年12月20日現在)が締結済みで、主要7か国(G7)の中では締結していないのは日本のみです。

なお、2000年12月に署名会議が行われたのは「マフィア発祥の地」とされるイタリア・シチリア島のパレルモだったことから、「パレルモ条約」とも呼ばれています。

条約制定の背景には1990年代のマフィアによる薬物や銃の密輸拡大があり、テロリズムではなくマフィア対策を念頭に作られたものと指摘されています。

日本が条約をむすべば、犯罪者の引き渡しができる相手国が増えることや、捜査上の情報交換がスムーズに進むなどのメリットが想定されています。

TOC条約を締結するためには「テロ等準備罪」が必要なの?

TOC条約の第5条は、重大な犯罪についての合意を罰する罪(共謀罪)もしくは、犯罪集団に参加することを罰する罪(参加罪)のいずれかを国内法に整備することを、条約締結のための条件として求めています。これに基づいて、政府は共謀罪の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する法案の成立が条約締結のために必要だと主張しています。

一方で、条約の第34条は、「国内法の基本原則に従って必要な措置」をとればよいとしています。日弁連はこの34条および国連の「立法ガイド」を根拠に「文言通りの共謀罪立法をすることは求められていない」と指摘しています。

また、日本には各種予備罪・共謀罪があることなどから「組織犯罪を有効に抑止できる法制度はすでに確立されている」として「共謀罪の新設をすることなく条約の批准をすることは可能」だと主張しています。

これに対し法務省は、「立法ガイド」の記載は、共謀罪もしくは参加罪のどちらかを義務付けている第5条を前提として、

共謀罪を選択した国は参加罪を設ける必要はなく、参加罪を選択した国は共謀罪を設ける必要はないことを述べたものに過ぎず(「立法ガイド」を作成した国連の担当事務局も、我が国の照会に対し、このような理解が正しい旨回答している。)この指摘は当たらない

反論しています。

情報ソース

外務省HP「国際組織犯罪に対する国際社会と日本の取組」

法務省HP「共謀罪に関するQ&A」

法務省HP 「組織的な犯罪の共謀罪」の創設が条約上の義務であることについて

外務省HP「国会承認条約の締結手続き」

日弁連HP「日弁連は共謀罪に反対します」

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