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「アベノミクス」とは「安倍」と「エコノミクス(経済)」を合わせた造語で、2012年12月に発足した安倍政権が進める経済政策のことを指し、以下の「3本の矢」で構成されます。

第1の矢:「大胆な金融緩和」
第2の矢:「機動的な財政政策」
第3の矢:「成長戦略」

アベノミクスのシナリオは、日銀がマネー供給量をふやし(第1の矢)、政府が公共事業を増やす(第2の矢)。この2本の矢が「カンフル剤」として経済を下支えしている間に、企業活動を活性化させる成長戦略(第3の矢)を進めていくというものです。

目指すのはデフレ脱却です。物価の下落が賃金低下と経済規模の縮小を招く悪循環(デフレ)から脱却し、企業収益の向上と賃金上昇が物価上昇につながる経済の好循環への転換を狙ったものです。

ただし、第1・第2の矢は、リスクも抱えています。日銀が金融緩和のために大量の国債(政府の借金)を購入し、政府が大規模な財政出動を続ければ、日本政府の財政への信用が失われ、いずれ国債の価格暴落や金利の急上昇を招きかねないからです。

したがって、第1・第2の矢が時間かせぎをしている間に、第3の矢=成長戦略によって実態経済、日本経済の実力を高めることができるかどうかが成功の鍵となるのです。

安倍政権がスタートすると、それまでの過度な円高が是正され為替レートが円安へ。これが企業収益を押し上げ、株価は上昇しました。しかし、原油安も背景に、当初2年間(〜2015年)で達成するとした物価上昇率2%の目標は達成のメドが立たず、デフレ脱却も達成していません。

そんな中、2015年9月24日に安倍総理は記者会見を開きました。「アベノミクスが第二ステージに移る」と述べ、「一億総活躍社会」という新たな目標を打ち出したのです。少子高齢化に歯止めをかけて、50年後も人口1億人を維持するというものです。そして以下の「新・3本の矢」を打ち出し、それぞれ達成目標を掲げました。

新・第1の矢:「希望を生み出す強い経済」→ GDP600兆円の達成
新・第2の矢:「夢をつむぐ子育て支援」 → 希望出生率1.8の達成
新・第3の矢:「安心につながる社会保障」→ 介護離職ゼロを目指す

この「一億総活躍社会」実現の工程表として「ニッポン一億総活躍プラン」が策定され、2016年6月2日に閣議決定されました。この中で「最大のチャレンジは働き方改革である」と強調しています。政府は「働き方改革」の柱である「長時間労働の是正」や「同一労働同一賃金」を実現するための実行計画を、2016年度内(2017年3月まで)に取りまとめる方針です。

2020年にGDP600兆円を達成するという高いハードルを掲げた政府ですが、そのためには毎年名目3%成長が必要で目標達成は容易ではありません。アベノミクス支持者からも力不足と指摘される成長戦略を実効性のあるものにしていくことができるか。日本の財政への信用を保ちながら、物価上昇率2%目標を達成できるか。引き続き、アベノミクスの成果が問われていくことになります。

Q&A

第1の矢「大規模な金融緩和」とは?

「大胆な金融緩和」とは、2012年の衆院選挙で自民党が公約に掲げた金融政策です。日本経済が陥っているデフレからの脱却を目指すために、マネー供給量を大きく増やしてインフレを実現するシナリオです。安倍政権が任命した日銀・黒田総裁の下で2013年4月にスタートしました。円安や株価上昇などの効果をもたらしたものの、当初の筋書き通りには進んでいません。

もっと読む 「大規模な金融緩和」

第2の矢「機動的な財政政策」とは?
2012年12月の総選挙で勝利し発足した安倍政権は、2012年度補正予算(13.1兆円)と2013年度当初予算(92.6兆円)を経済再生のための「15ヶ月予算」として打ち出しました。
また、消費税率を2014年4月に8%に引き上げることを決めると、景気の落ち込みを防ぐため、2013年度補正予算(5.5兆円)が組まれました。
さらに、2014年度の当初予算は過去最大の95.9兆円となりました。
このような積極的な財政支出がアベノミクス・第2の矢と位置づけられてきました。
景気を下支えする側面がある一方で、財政再建が遠のくという批判があります。
第3の矢「成長戦略」とは?
2013年6月に「日本再興戦略」という名前で閣議決定された成長戦略は、2014年6月と2015年6月に戦略を「改訂」する形で、3段階にわたって打ち出されてきました。
法人税率の引き下げや、医療・介護、農業、労働法制など「岩盤規制」改革などを掲げてきましたが、アベノミクス支持派からも「踏み込み不足」と指摘されてきました。
日本経済の実力を示す潜在成長率が0%台とされる中で、安倍政権が掲げる実質2%・名目3%の経済成長を達成する成長戦略の具体化は道筋を描けていません。
第2ステージ「一億総活躍社会」って、従来のアベノミクスと違うの?

「一億総活躍社会」実現のために打ち出された新・3本の矢のうちの1本目「希望を生み出す強い経済」の中に、元祖3本の矢(金融緩和、財政出動、成長戦略)が集約された形です。
つまり、アベノミクスに新たに追加されたのは新・第2の矢「夢をつむぐ子育て支援」と新・第3の矢「安心につながる社会保障」です。これに沿って保育士や介護職員の待遇改善、同一労働同一賃金の推進など『分配』重視の施策が打ち出されています。
元祖アベノミクスが経済「成長」重視だったとすれば、第2ステージ「一億総活躍社会」は「分配も重視」する姿勢を強調したのが特徴と言えます。

→アベノミクス・第2ステージ「一億総活躍社会」とは

「一億総活躍社会」実現への政策が、予算に反映されるって?

2015年度補正予算案2016年度予算案は2015年12月に閣議決定され、ここにはアベノミクス第2ステージが掲げる「一億総活躍社会」の実現に向けた政策が盛り込まれています。例えば15年度補正予算には、保育所の整備やひとり親家庭の支援など子育て支援政策が並びます。ただ、所得の低い高齢者に1人3万円を支給する「臨時給付金」3390億円も計上されていることに、野党は「選挙を意識したバラマキだ」などと批判を強めています。

アベノミクスは狙い通りに進んでいるの?

アベノミクスは円安と株価上昇をもたらし、大企業を中心に業績は拡大しています。しかし、円安による輸入コスト増などを背景とした「悪い物価上昇」も招いていて、賃金上昇が物価上昇ペースに追いついていない状態です。
本来目指している、企業業績の向上が賃金の上昇をもたらし、それが物価上昇(デフレ脱却)につながる経済の好循環はまだ実現できていません。推進派は「道半ば」と表現し、反対派は「失敗」と批判しています。

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